コーヒーって???

コーヒー豆(コーヒーノキの種子)を焙煎し挽いた粉末から、湯または水で成分を抽出した飲料。抽出前の粉末や粉砕前の焙煎豆も、同じくコーヒーと呼ばれることもある。漢字では「珈琲」と当て字される。
コーヒーは世界で最も多くの国で飲用されている嗜好飲料である。家庭や飲食店、職場などで飲用され、またコーヒーの専門ショップも多数存在する。歴史への登場はアルコールや茶には遅れるが、人類との関わりが最も深い嗜好飲料と言える。 また世界各国で、コーヒーを提供する場の喫茶店(コーヒー・ハウス、カフェ、カフェー)は近代、知識人や文学、美術などさまざまな分野の芸術家の集まる場として、文化的にも大きな役割を果たしてきた。 更に、石油に次いで貿易規模が大きい一次産品であるため、経済上も重要視されている。大体北回帰線と南回帰線の間(コーヒーベルト)の約70箇国で生産され、アメリカ、ヨーロッパ、日本など全世界に輸出されている。カフェインに代表される薬理活性成分を含むことから医学・薬学の面から研究の対象となっている。

全世界では、150億のコーヒーノキが1,000万ヘクタールの土地で生育していると概算されている。主な生産地はブラジルやコロンビアなどの中南米や、ベトナム、インドネシアなどの東南アジア、エチオピアやタンザニア、ケニアなどのアフリカ諸国など。また有名銘柄の産地としてハワイ、イエメン。インドや中国などでも生産されている。日本でも小笠原諸島や沖縄諸島に移入されたことがあるが、大規模生産には成功していない。ただし九州や沖縄で個人規模農園で栽培している人もいる。 近年[いつ?]になってこれまでロブスタ種の栽培が主流であったタンザニア周辺地域のアフリカ諸国、(ザンビアやマラウィ等)で輸出用に高品質のアラビカ種の栽培が盛んになっていて一部国連主導による「国連グルメコーヒー開発プロジェクト」に加盟している国もある(ブルンジ、ウガンダ)。これらのアフリカ諸国のコーヒーも日本で漸く流通しはじめている。

世界のコーヒー生産地と豆の名称

コーヒー豆の種類は、主に生産地で分けられている。名前の付け方は、国名(コロンビア、ケニア)、山域(キリマンジャロ、ブルーマウンテン)、積出港(モカ)、栽培地名(コナ、マンデリン)などが多い。この他、種名や栽培品種の名を付加した名称(ジャワ・ロブスタ、ブルボン・サントス)や、選別時の等級を付加した名称(ブラジル No. 2、タンザニアAA)なども用いられている。また1990年代以降の動きとして、高品質であることを売り物に差別化を図るため、更に特定の農園の名前を冠したコーヒー豆も増えつつあり、近年[いつ?]ではそのような特定の農園からの豆のみのものや通常よりも現地での選別を厳しくしたハイクラス品のことをスペシャルティー(スペシャリティー)コーヒーと称する差別化が普及しつつある。また生産国(特に中南米で盛んである)でおこなわれている品評会に入賞した農園の豆をオークションなどを使用して購入し、スペシャルティーコーヒー以上のプレミア品として更に差別化している販売業者も見受けられる。

ブレンド

コーヒー豆はその消費目的に応じて数種類混合されることがある。これをブレンドと呼ぶ。ブレンドされたコーヒーはブレンドコーヒーと呼ばれ、これに対して一種類の焙煎豆のみからなるコーヒーをストレートコーヒーと呼ぶ。
ブレンドは焙煎前に豆を混合するプレミックスと焙煎後に混合するアフターミックスがある。プレミックスは調和の取れた味になり大量生産にも向いている一方で、個々の豆の焙煎の加減を調整しづらい。それに対してアフターミックスは豆の焙煎状態を最良にしやすいが、別々に焙煎する分手間が掛かる。
ブレンドは複数の違った持ち味を持つコーヒーを混ぜることにより、ストレートコーヒー単品だけではなし得ない味を、提供者側の意図にあわせて作り上げるための工程である。しかしながらその法則には定まったものがあるわけではなく、各ロースターが独自に考案したブレンドのレシピに従って行われる。インスタントコーヒーなど工業的生産の場では、香味等の品質を保つため8つ以上のタイプの豆が混合される。

粉砕

焙煎されたコーヒー豆は、抽出される前に粉状に細かく挽かれる。この工程をコーヒーの粉砕(グラインド)という。粉砕にはコーヒーミルと呼ぶ器具あるいはグラインダーと呼ぶ機械を用いるが、場合によっては乳鉢や石臼などが用いられることもある。コーヒーは焙煎された豆のままで販売される場合と工場で粉砕された後で販売される場合があるが、粉砕されると表面積の増加から空気酸化による品質低下が早まると言われているため、家庭用のコーヒーミルで抽出直前に挽いている人も多い。
粉砕されたコーヒーは粉の大きさに応じて、細挽き、中挽き、粗挽きと呼ばれる。粉砕粒子度合いと抽出法については、アメリカ商務省の推奨規格やそれを規定した専門書(具体的数値はコーヒーミルを参照)などがある。しかし多くの場合はそれらに直接従うことは少なく、当事者の経験や大まかな伝聞によって粒子度合いを決めていると考えられる。これらの挽き具合は、そのコーヒーがどのように抽出されるか、またどのような味にすることを望むかによって調整される。例えばエスプレッソではほとんど微粉に近い粉状になるよう極細挽きにして用いられる。

飲み方

コーヒーは熱湯で抽出されることが多く、抽出されたそのままを、あるいは温め直されたものがホット・コーヒーとして飲まれる。夏場などには、専用に濃く抽出したコーヒーを冷やしてアイス・コーヒーとして飲まれることも多い。
抽出されたコーヒーに何も加えずそのまま飲むものをブラック・コーヒーあるいは単にブラックと呼ぶ。多くの場合は、これに砂糖とクリームなどの乳製品を別に添えて出されることが多い。この場合、砂糖(グラニュー糖、白砂糖など)やクリームは飲む人が自分の好みに応じて加える。「コーヒー通は専らブラックで飲む」という説を唱える人もいるが必ずしもそうとは言えず、むしろ本人の嗜好による。
なお、砂糖を加えないもののみをブラックとするのは、日本の用法である。逆に英語でblackとは乳製品を加えない事を指し、砂糖の有無については問わない。また、日本国内で販売されている缶コーヒーで、幾つかの商品は「加糖ブラック」と表記されている。
また、上記した以外にも、牛乳やアルコールなどを加えて飲まれることがある。これらはバリエーション・コーヒー(アレンジ・コーヒー)と呼ばれる。エスプレッソやダッチ・コーヒーなど特殊な淹れ方をするコーヒーも、最も普及しているドリップ式のコーヒーと区別する目的でバリエーション・コーヒーに含めて述べられることが多い。

成分

コーヒーの生豆には多糖を中心とする糖類、アミノ酸やタンパク質、脂質の他、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸、アルカロイドであるカフェイン(豆重量の1%程度)やトリゴネリン、ジテルペンであるカフェストールやカーウェオールなど、特徴的な成分が含まれている。
これらの成分は焙煎されることによって化学変化を起こし、その結果数百種類にのぼる成分が焙煎豆に含まれる。焙煎の初期にまず生豆中の水分が蒸発し、その後一連の焙焦反応と呼ばれる反応が起きる。多糖やタンパク質はこの過程で加熱分解され、それぞれ低分子の糖類やアミノ酸を生じ、さまざまなコーヒーの味と香りを生み出す。クロロゲン酸がこれらの分子と共に加熱されることで褐色色素が生じ、コーヒーの色を生み出す。この他、糖類のみの加熱により生じるカラメルや、糖類とアミノ酸によるメイラード反応なども色素の生成に関与する。これらの色素はコーヒーメラノイジンと総称される。コーヒーの揮発性成分としては約900種類の化合物が同定されている。中でもコーヒーの香りに大きな寄与をしている成分としては以下のものが知られている。甘い蜜様の香りを持つβ-ダマセノン、コーヒーの特徴的な香りを持つ2-フリルメタンチオール、トロピカルフルーツ的な香りを持つギ酸3-スルファニル-3-メチルブチル、カラメル様の香気を持つフラネオール、ホモフラネオール、ソトロン、ホモソトロン、木クレオソート様の香りを持つグアイアコール、4-ビニルグアイアコール、4-エチルグアイアコール、醤油様の香りを持つメチオナール、ナッツ様のロースト香を持つ2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、バニラ様の香りを持つバニリンなどである。ダマセノンはカロチノイドの分解により、グアイアコール類とバニリンはリグニンの分解により、カラメル様の香りの化合物は糖類の分解により、ピラジンなどその他の化合物は糖類とアミノ酸からメイラード反応で生じるとされている。これらの分子はすべて、苦味や酸味、甘味などのコーヒーの味を決定する上でも重要である。
最終的に飲み物であるコーヒーの抽出液には、これらのうち水溶性の比較的高い成分が溶出される。抽出されたコーヒーは0.04%程度のカフェインを含むが、それ以外の多くの成分についてはほとんど解明が進んでいないのが現状である。
これらの成分はコーヒーの複雑な味と香りを生み出すだけでなく、覚醒作用に代表されるようなコーヒーのさまざまな作用の原因にもなる。